告解ブログ再始動に伴い、書き易いテーマから
お送りする予定です。妻が嫌がりそうな話題を選んでペンを走らせるとしましょうか。
これ迄に幾度も華が風変わりな少女であった事は書き散らして来ました。今の時代に彼女が児童であった場合、学校側がどう対処するのか大いに見ものです。また自分が仮に彼女の保護者であったとしたら、どの様に接しただろうかと考えずには居られません。
体育の授業を軒並み見学していた華は、雨の日は頭痛がするという理由で保健室で仮眠していました。しかし晴れた日は教師よりグラウンドの草取りを命じられます。
華が大人しく命令に従うでしょうか。そんな筈が有りません。「草を殺すなんて嫌だ」と宣う、それが彼女です。
勝手に用務員の爺さんと仲良くなり、花壇の手入れをしている事も有ればグラウンドの雑草に如雨露(ジョウロ)で水やりをしている事も有りました。
秋の始まり、当時は三学期制が主流ですから二学期のスタートしたばかりの九月と言えば生徒玄関にカナブンやらコガネムシやら蛾の死骸が転がっています。
彼女は彼らの骸を素手で集めては白いハンカチに後生大事に包み込み、プールサイドの脇に位置していた陽当たりの悪い花壇の成れの果てへ次々と弔っていました。
華が使っていたハンカチは必ず白でした。彼女は既にこちらの実家で寝起きしている環境であり、母が「毎日ハンカチを無くしてしまう、おっちょこちょいな」息子の彼女の為に真っ白なハンカチを買って来ていました。
見かねて「華は学校で虫の死骸をハンカチに包んで墓を作っている」と自分が母に教えると、敬虔なカトリック信徒である母は心を動かされ泣きながら祈り始めるといった具合でした。
華の祈り方というのは一般的な人間から見ても鬼気迫っており、教師も腫れ物に触る……否、障らぬ神に祟り無しといった様子で遠巻きに眺めている状況でした。
一度、悪乗りした後輩男子が彼女の作った虫の霊廟を掘り返した上に壊した事が有りました。
とある曇天の土曜日の午後、華は彼を卓球台の保管庫である部室の一部に呼び出しました。(彼は男子卓球部の一員であった)
彼がどうなったのか、何を彼女に言われたのか男子部の長である自分も把握しておりません。後輩男子はその後、部を退きました。そして華の当時の親友であった不良少女のみが所属している「切り絵部」なるものに入部して(させられて)いた模様ですが、助け出してやる程の義理も無く話し掛けてやる程の親交も無かった為に彼の行く末には卒業以降も興味が湧く事は有りませんでした。この記事を書くに当たり、記憶の箱の底から思い出してやった次第です。